どんな人でも能動的に自分のことをいつでも知ってもらうことができるようになったインフラが整ったのは素晴らしいと思う。これまでのマスコミでは選者がまず絶対的な力を持っており、選者がニュースバリューのある対象であると認定しない限り自分を発信したい人はその機会すらなかった。そして考え方や反応は固定化していく傾向があった。つまり仮想される受けて主体の発想である。
そこにできた生放送システムはまず知ってもらいたい人のニーズからスタートする「送り手主体」の発想であるのが大きな違いだと思う。そしてそれを受ける人と双方向のコミュニケーションが取れることで流動的に内容を変えることも大きい。
他のSNSと異なるのは文字ではなく動画を配信することで得られるリアルタイム性とそこから生まれる一体感。またどうしても滲み出てくる発信者の人間性などであろうか。
ただ、個人的に少し怖いと思った点もある。承認欲求を以前より簡単に得られるようになったことからプライバシーの切り売りが加速する危惧である。本来承認欲求とは自分に立ちはだかった壁とか困難の類を乗り越えた際に得られるものだと私は考える。しかし生放送で承認される快感を先取りしてしまうと視聴者に迎合することが先行してしまい根本的に対峙すべき事柄から逃げやすくなるような気がした。
しかし、この点も安易に甘えとか遊びというつもりはない。たわいもない他人の一言で人生を救われることはよくあり、そのような機会が得られるのはとても素晴らしいと思う。番組中のナレーションにもあったが「ネットは万能ではない」のだから、その特性をよく知ってうまく利用するのが肝要だと思った。