60才になった宮本武蔵は岩山の洞に籠もり、2年かけて五輪書を書き上げた。
そして、その1週間後62才で他界した。
五十代からの挑戦は己の兵法の集大成であり、五輪書を書き上げることで完結した。
その意味で、「我が事において後悔せず」なのだろうが、武蔵にとって己とは己の兵法であって、己の魂を生かすことではなかったようだ。
己の武器を使い切った後、武蔵が如何に己を活かしたかを観てみたかった。
五十代からの挑戦だけで終わってしまって、60代の返しがないなんて哀しすぎる。
「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。」
宮本武蔵のこの言葉を、還暦以降、座右の銘にしているが、武蔵には60代からの鍛練を実践して見せてほしかった。その想いが強い。